職場恋愛
結局、逢坂さんは5日間休んで、金曜日から来ていた。
病みあがりでオープンっていうハードなシフトだけど元気そうで安心した。

オープン前の休憩室に逢坂さんが現れた時の歓声と言ったらもう。
大人気のアイドル並み。

そんなアイドル様が、みんなの前でまさかあんなことをしてくるなんて思わなくて心臓がうるさい。


『1人にしてごめんね。大丈夫だった？』

そう言って私の頭をワシャワシャ撫でたんだよ。
おったまげすぎて目が点。

島田さんもキョトンとしてたし、他のみんなだって何が起きたのか分からなそうな顔してたよ。

そりゃそうなるよ！

撫でられた本人すら何事かと思ったし！



「あの…逢坂さん」

それが一旦落ち着いてから逢坂さんは真鍋さんに声をかけられていた。

こんなに日が空いちゃったけどちゃんと謝るんだ。

偉いな…。


「ん？」

優しく聞こうとする逢坂さんはやっぱりみんなに優しい。

「私のせいで、本当にすみませんでした」

「もういいよ。終わったことじゃん。いつまでも気にしてちゃだめだよ」

本当、どこまで優しいの。

「でもっ…」

「いいのいいの。反省する気持ちがあれば人はどこまでも成長できるから。頑張ろう」


みんなに優しい。
平等に、優しい人。

私だけが特別じゃない。

勘違いしてはだめ。


< 51 / 543 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop