My hero is only you
「そうか。君が大丈夫だって言うなら、これ以上は聞かないでいるよ。ただ、無理はしないようにね」

 言葉と共に、ポンポンと頭を軽く叩いていく。

 優しい仕草。

 足音が遠ざかっていく。

(そんなに優しくされると、期待しちゃうよ)

 期待が大きければ大きいほど、裏切られた時の傷は大きくなる。

 そんなことはわかっているつもりだけれど。

 何気ない言葉や仕草に、こんなにも切なくなる自分がいる。

 ポタッと涙が一粒落ちた。

 今日はもう帰ろう。

 机の上を片付けて席を立つ。

 振り返らずに図書室を後にした。

 追いかけてくるはずのないことは、わかっているけれど。

(それでも・・・)

 タイムリミットの時間は近づく。

 残された日はあと、2日。

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