だいじなもの。

煌side



「んっん・・・・」


腕の中でモゾモゾと動く物体で目が覚めた。



「ふっ・・・・」



スリスリとくっついてくる奈緒が可愛くてつい笑みが零れてしまった。


寝ているはずなのに一生懸命ギューと抱きしめてくる。


ヤバッ、朝から可愛すぎるだろ。


離れていかないようにギュッと抱き締め返した。








ジャー・・・・


水の流れる音と珈琲のほろ苦い香りで目が覚めた。


やば、二度寝しちまった。



腕の中にいるはずの奈緒をギュッと抱き締める。


あれ・・・・・?



思ったより柔らかく目を開くと枕を思いきり抱き締めていた。



「奈緒?」

「あ、起きた?」


ベッドの横でしゃがんで顔だけを覗かせている。


先に起きたのに不覚・・・・・



「いつ起きたの?」

「ん~・・・1時間半くらい前?」



マジか・・・・・


「起こしてくれたらよかったのに」

「だって気持ちよさそうに寝てたから」



そう言いながら優しい笑みを見せた。



「寝れた?」

「うん。今日はスッキリしてる」



ならいいけどさ。



「朝ごはん作ったんだけど食べる?」

「うん」



のそのそと体を起こしてテーブルを見るとテーブルに奇麗に並べられた朝食。


「珈琲でいい?」

「うん」

「ブラック?」

「うん」

「はーい」


パタパタとスリッパを鳴らし、「さっき出来たばかりだから温かいよ~」と言いながらキッチンへと消えていった。


その後を追うようにベッドから出ると、顔を洗いにキッチンまで奈緒を追いかけた。
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