極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
 今日も朝から、黒髪の緩いパーマは無造作にセットされている。
 そういうところは几帳面で、服装も濃いグレーのジャケットに黒のスキニーパンツとラフな格好なのに、どことなくオシャレにきめている。

「深酒して起きられなかったらマズイだろ? 今日も仕事だろうし」

「それはそうだけど、ビックリするからチャイムくらい鳴らしてよ」

「鍵、昨日閉めて持って帰ったから、それを返しに来たのもある」

 涼我は見慣れた私のキーホルダーを目線の高さまで掲げ、テーブルの上にカチャリと置いた。
 実は涼我とは住んでいるところが近く、お互いのマンションまで徒歩十分もかからないくらいだから、涼我は昨夜、一度自分の部屋に戻り、今またわざわざ私のもとへ現れたのだ。

 別に示し合わせて近くに住んでいるわけではなく、半年ほど前に涼我がうちの会社の賃貸物件から引っ越し先を探したら、たまたまご近所さんになってしまっただけ。
 小三からの腐れ縁の人物と、またこうして近所に住むなんて思ってもみなかった。

「ついでに朝飯買ってきたし、家から薬も持ってきた。どうせ二日酔いだろ?」

 コンビニの袋からはおいしそうなサンドイッチやパンが覗いている。
 涼我は私が朝はコーヒー派だとわかっているから、おにぎりではなくパンにしたのだろう。

 そして、涼我の家にあったと思われる市販の鎮痛剤の小箱がテーブルに置かれる。
 こういうところは、男にしておくにはもったいないくらい、昔から本当に気がきく。

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