極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
「いいでしょ、涼我さん」

「いやでも、来週末だから急だしね」

「予定は空いてます。それに私なら三人とも顔見知りだから、ちょうどいいじゃないですか」

 こんなかわいい子にお願いされて断る男性はいるのだろうか、と傍観してしまった。
 涼我は戸惑っていたけれど、蘭々ちゃんは行く気満々だし、こちらとしては断る理由はなにもない。

「ね、和奏さん」

 涼我が了承しないので、蘭々ちゃんが私に助けを求めてきた。
 嫌なのかと涼我に問いたいところだが、この場ではそれも難しい。
 私は蘭々ちゃんの勢いに押され、「一緒に行こうか」と申し出に応じてしまう。
 それを見た涼我も観念して小さくうなずいた。

 どのみち私はストレス解消と癒しのための温泉旅行なのだから、問題はない。
 ゆっくり温泉に入って、おいしいお料理とお酒をいただいて、樹里に愚痴を聞いてもらえるのならそれでいい。

「そういえば、彼氏もどきはいいのか?」

 蘭々ちゃんが仕事に戻り、再びふたりになったところで、涼我がいきなり聞いてくる。
 彼氏もどきとは三浦さんのことだろう。

「うん。アメリカに長期出張中だから」

「ふーん」

 自分から話を振ったのに涼我は私から目を逸らし、前を向いたまま難しそうな顔をする。

「忙しいのよ。ハイスペック男子は」

 忙しいから仕方ないとはいえ、出張中はあまり連絡を取るのも気が引けるから、寂しいといえば寂しい。
 やはりここは温泉に癒しを求めるしかない。


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