極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
「そうなの。昔からああいうところあるのよね」

 蘭々ちゃんに呼応するように、樹里が自分の着替えを出しながら返事をした。

「ああいうところって?」

 何気ない会話のはずだったのに、蘭々ちゃんと樹里が顔を見合わせてフフッとあきれたように笑う。なにもわかっていないのは、どうやら私だけのようだ。

「和奏さぁ、ほんとにわかってないわけ?」

「え?」

「いくら涼我が自己顕示欲ゼロの男だからって、それはさすがに気の毒すぎるわ」

 たしかに涼我は大人で、俺が俺がとうるさく前に出てくるタイプではないから、そういう意味では自己顕示欲はゼロに等しい。でも、樹里が言いたいのはそこではないのだろう。

「和奏を元気づけたくて、さっきも観光先で楽しませてたでしょう?」

 どうして気づいてやれないのよと、樹里があきれたような視線を送ってくる。

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