極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
 あのときはキスしているところを目撃しただけで、すごく動揺してしまって。
『付き合うの?』とか、『蘭々ちゃんが好きなの?』とか、あたり前すぎて逆に聞けなかった。
 なのに私もキスされて、頭の中がかなり混乱状態だったのだ。

『わかった。私が涼我に確認しとく』

 樹里はするどいから、涼我がしてきたキスの意味がわかるかと思ったけど、どうやら誰の目から見ても謎らしい。
 女の子とキスをして、その数分後に違う女とキスをするなんて。
 それだけ聞いたらただのキス魔じゃないか。

『今日はこれから三浦さんと会うんだっけ』

「うん。お土産渡さなきゃだし、久しぶりに会ってくるよ」

 三浦さんがアメリカ出張から帰ってきた。
 私も旅行に行っていてお土産を買ったと話したら、三浦さんが家に来ないかと招いてくれたのだ。
 家に行くのは正直緊張するけれど、断れなくて承諾してしまった。

『今度私にも会わせてよ』

「三浦さんにちゃんと伝えておくから」

 電話を切る前に、樹里にしっかりと念押しされる。
 私の親友が会いたがっている、と三浦さんに今日会ったときに忘れずに伝えなければ。
 実物の三浦さんを見たら、カッコよすぎて樹里はビックリするだろうな、なんて勝手な想像を巡らせていたら、自然と口もとが緩んだ。

< 52 / 114 >

この作品をシェア

pagetop