【短編】涙の理由を、言い訳させて。
「えっ…あゆちゃん?」
そして
ちゃんと背中を、押そうとした。
押そうと、したのに……
ふわりと、理希の香りがした。
無意識に、抱きしめていた。
理希のことを……引き止めていた。
「…っ…行ってよ…。」
言葉と行動は、あまりにも矛盾していて
自分でも呆れてる。
出る言葉は嘘だらけなのに
身体は案外、正直なんだ。
「あゆちゃん、やっぱり何かあった?」
「だから……かないでよ」
「ん?」
「っ…やっぱり行かないでよ」