【短編】涙の理由を、言い訳させて。



「えっ…あゆちゃん?」



そして



ちゃんと背中を、押そうとした。



押そうと、したのに……





ふわりと、理希の香りがした。



無意識に、抱きしめていた。



理希のことを……引き止めていた。



「…っ…行ってよ…。」





言葉と行動は、あまりにも矛盾していて
自分でも呆れてる。



出る言葉は嘘だらけなのに
身体は案外、正直なんだ。



「あゆちゃん、やっぱり何かあった?」



「だから……かないでよ」



「ん?」



「っ…やっぱり行かないでよ」


 
< 14 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop