Black sweet Darling!《完》
「俺はいくら値が張っても、落ち着く空間で飲み食いしたいと思う。

景色と、店の雰囲気と、音楽と、スタッフの距離感。

もちろん味はうまい前提で、だけどな。」


急に語り出した柳瀬さんは、さっき注文したビールグラスを傾ける。

あたしもソルティードッグを手に、その話を聞く。


「野外でも同じ事だ。満足出来たらまた行こうと思う。
入りやすい店よりも、最初入りにくかった店の方がリピートするもんだ。」


「そう…なんですか…。」


何であたしにそんな事言うのだろう?

意図がわからないけど、なるほどと思えた。

大人しく彼の話を聞いていると、さっきの雰囲気は何処へやら、いつものニヤリと嫌味な笑顔を浮かべる。


「で、何で公園で店広げてる?」


昼間に聞かれた質問だ。

ニューヨーカーなんて答えじゃ納得しなかったか。


「あなたにお伝えする必要はありません。新しい事を始めただけです。」


言ってもいいのかも知れないけど、馬鹿にされそうで言いたくない。

また可愛げのない言い方になってしまったけど、お互い様だ。



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