俺様Dr.に愛されすぎて
「今日夕方であがりですよねぇ?夜、ごはんいきません~?」
「あー、残念。今夜は眼科の田中先生に誘われてるんだよ」
「え~、またぁ?たまには私にも付き合ってくださいよ~」
仕事中なのだろうけれどそうとは思えない会話をしながら、彼女は唇を尖らせ真木先生の腕に抱きつく。
「あの子またやってる」
「真木先生も拒まないからねー。まぁ、若くて綺麗な子に言い寄られて悪い気はしないだろうけどさぁ」
そんなふたりを横目に、背後の看護師さんたちからはヒソヒソと離す声が聞こえてきた。
また、ってことはあれはいつものこと……。
やっぱり真木先生、モテるんだなぁ。
そう思いながらふたりを見ていると、真木先生は私に気づいてこちらに目を留めた。
ばち、と合った目と目に、心臓がドキッと跳ねる。
「お、藤谷。お疲れ」
ところが、彼はいたって普通の顔。
軽い口調で『よっ』と言うように右手を挙げた。
へ?
あれ、なんか……普通っていうか、いつも通り?
あまりにもいつもと変わらないその顔に、それまでの緊張感から一気に拍子抜けしてしまう。