あなたと私の関係
雨宮さん。
雨宮さん、雨宮さん。
会いたいけど、会いたくないな。
だって、どんな顔したらいいのか分からない。
どこ行ってたんだ、何してたんだって聞かれても答えられない。
「ごめ、なさ…っ」
気付けばそのまま家に逃げ帰って、洗面所で何回も何回も唇を洗い流した。
そんなことで消えるわけないのは分かっていたけれど、ファーストキスは雨宮さんと、なんて、あるわけないのに夢見ていたから。
次から次へと頬を伝って落ちる涙の粒は流水に紛れて排水溝へ。
柏木くんは、雨宮さんが嫌いなんだ。
ただ嫌い、じゃなく、妬み嫉みのいつく先みたいな、取り返しがつかないような気持ちを抱えている。
自分だって、という気持ちが強いからこそ、努力や苦労を表に出したがらない雨宮さんとすこぶる相性が悪い。
きっとそれを雨宮さんも気付いていて、だからこそ警戒して、なのに、私…
「〜〜っ!!」
いつも雨宮さんはそうやって先回りしてくれていたのに。
悔しいとか、不甲斐ないとか、恥ずかしいとか、後悔とか、ごちゃ混ぜになった気持ちが一気に押し寄せてきて潰れてしまいそうになっていると、スカートの中のスマホが小刻みに震えた。