あなたと私の関係




*****



あの後、雨宮さんは本当に帰ってこなかった。




地方ロケや撮影が重なってしばらく帰れそうにない、と短いメールが届いたのはついさっき。一人の夜を過ごして3日ほどたった夕方のこと。




「どうしたの彩羽、元気ないじゃん」



「んー、そんなことないよ」



「ならいいけど、なんかあったら言ってよね?」




自然と増えるため息を美月は見逃さない。



会いたいけど会いたくない。顔を見たいのに、目を合わせる自信がない。



そんな気持ちを抱えたままの私は、きっと作り笑顔すら上手く出来てないんだろうな。



心配そうな美月だけど、無理に聞き出そうとはしてこない。




今はその優しさに感謝して、放課後の教室を二人で後にする。




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