あなたと私の関係
私はただの女子高生で、雨宮さんは本来テレビの中の人で。
家政婦で、雇い主で。知人の娘で、母の知り合いで。
たったそれだけ。たったそれだけの私と雨宮さんの関係。
一緒に住んでいるというだけで、近くない。
どこまで行っても私達は一番遠いところにいると思う。
だから踏み込まない。踏み込んじゃいけないような、そんな気がしていたけれど。
「………昔、付き合っていた女がいてな」
むくり、と起き上がった雨宮さんは膝を立ててそこに頬杖をついて。
「1周りとまではいかないが、そこそこに年上だった。たしか俺がテレビに出るようになって2.3年目のことだったと思う」
ぽつり、ぽつりと話し始めたのは、私と同じ昔話。
「料理の上手い女だった。家事もできる。その頃はもう少し狭いアパートに住んでいたんだが、そこのことはすべて任せていた」
「同棲してらしたんですか?」
「半分な。通い妻みたいなもんだ」
「か、通い妻」
「そうやって暮らしていたある日、いつものように出された飯を食べるだろう。そうしたらやけに眠くなってな」
「え」
「目が覚めたら、ベッドの上にいた。しかも着ていたはずのTシャツはいつの間にか脱がされていて、上半身裸だった」
…彼氏いない歴=年齢の私には刺激の強すぎるお話ではござらんか。