あなたと私の関係
こいつがここへ来てもうすぐ1ヶ月。
よっぽどのことがなければ俺より先に帰り、こうして飯を用意して、俺が帰ると"おかえりなさい"と駆け寄ってくる。
それはまるで、尻尾を振り回して擦り寄ってくる犬そのもの。
同居人というよりは、飼い犬。
でもそれも"よっぽどのことがなければ"の話であって。
「そう言えば、何部に入ったんだ」
ここ最近部活とやらに入ったらしく、俺よりも帰りが遅い時がある。
「演劇部です。といっても正式入部という訳ではなくて、文化祭までの助っ人なんですが」
「助っ人?」
なんじゃそりゃ。
「主役の人が骨折しちゃったらしいです。なので色々あって私がその代役というか」
「ほう。いきなり主演か」
「そうなんです!演技の経験もありませんし、もう毎日迷惑かけっぱなしで」
へへ、と眉を下げて恥ずかしそうに頭をかく様子にふと閃く。
「台本は今手元にあるのか」
「あ、はい。ありますけど」
「そうか。なら、飯のあとみてやろう」
「ええ!?」