あなたのことは絶対に好きになれない!
二人一緒に窓口まで戻ってきて、吉山さんの前で足を止める。

そして朝比奈さんは、吉山さんと一言二言会話してから、後方にいる私の方に目を向ける。

吉山さんに呼ばれ、私は吉山さんの隣に立つ。

すると朝比奈さんは、私にお菓子の箱を差し出してくれる。


「金本さん、この間は酔っ払ってたとはいえ、嫌なこと言っちゃってごめんね。これ、お詫び」

「え?」

思わぬ展開に、私は首を傾げてしまう。

朝比奈さんはお菓子をカウンターに置き、そのまま帰っていった。


「朝ちゃん、うちで預金とかしてくれそうだった?」

「バッチリです」

「さすが早坂くん」


吉山さんとオウスケくんのそんな会話も、いまいち耳に届かない。

朝比奈さん、思ってたより嫌な人じゃなかった。

お菓子くれたし、ごめんねって謝ってくれたし。

吉山さんの言う通り、正直なだけなのかもしれない。それに、この間はお酒が入っていたし。


そう思うと、ますます不安になる。

オウスケくんは、私じゃなくて朝比奈さんを好きになるんじゃないかって。
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