桐谷高校殺人投票
あたしの視線は晴哉の前で止まった。


晴哉は1人教室の後ろで膝を抱えてうずくまっている。


「そう言えば、晴哉は1度、裕司にタバコを見つかったんだよね」


あたしはそう言った。


高校に入学してすぐの頃、晴哉は校舎裏でタバコを吸っていた。


それを裕司に見つかったという話を聞いたことがあった。


裕司がその時の事を思い出したのか、サッと青ざめるのがわかった。


「だけど裕司は黙っててあげたんだっけ?」


「それは……。でも、怨んだりするようなことじゃない!」


裕司が必死になって言う。


「うん、わかってる。でも少しでもなにかがあった方が裕司は動きやすいよね?」


あたしの言葉に裕司は見る見る表情を歪めていった。


梨央、あたし、そしてきっと里子も裕司に投票している。


この時点で票の半分は裕司に集まっているのだ。

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