キミと初恋。
「ダメ? 食堂って席がすぐうまっちゃうから、斉藤さん達が良かったら座らせて貰いたいんだけどなー」


ぐいぐい来る山下さん。チラチラと先輩を見ながら押し迫ってくる。

でもここでダメとは言いづらいな……。先輩がどうにか言ってくれないものかと思うけど、先輩は相変わらずお食事に夢中のようで……。

仕方なく私は口を開いた。


「あー、うん、そうだね。いいーー」

「邪魔、しないでくんない?」


グイッと体を引っ張られたかと思ったら、そのまますっぽりと、ゴツゴツとした先輩の胸の中に収まっていた。


「俺は2人でメシ食いたいんだけど?」


はっ、はいー⁉︎

心臓バクバクしてる。でも背中では先輩の落ち着いた心音が私の体を伝ってきて、余計にドキドキしてしまう。


「先輩と斉藤さんって友達じゃないんですか?」


冷静かつ、冷酷に小倉さんがそう言うと、先輩の吐息が私の髪を掠めて、私はパニックを抑えるのに必死で何も口を挟めない。


「そう。俺の片想いってやつ」


まっ、またそれか……。


阿鼻叫喚、再び。

周りは見渡せないけど、きっと辺りが地獄絵図化している事は想像できる。

でも、私の体は動けそうにない。


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