恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
ソファに転がされて押し倒された体制で、揶揄うでもなく言われた言葉は、私にしたらとても意外だった。
だって、それって。
「なんか、それはちょっと今更っていうか」
「おい」
「だって、私、東屋さんのここにいる人がそんな簡単に消えないってちゃんとわかってますもん」
そ、と東屋さんの胸の中央に手を当てた。
あったかい。
東屋さんは、一度好きになった人をいつまでも大切にできる、とても愛情深い人。
「簡単に消したりできない東屋さんを好きになっちゃったんだから、もうしょうがないじゃないですか。寧ろ大好き」
せつないけど、好き。
今はそれを、東屋さんに伝えたいってだけで精いっぱいで、一緒に居られる時間があるだけで幸せで、だから全部、貴方にあげたい。
足の先から髪の先まで全部、貴方のものになりたい。
「だから、あなたのものになりたい、です」
貴方は笑うかな。
そんな状況で、男の人の胸に飛び込もうとするなんて、と呆れるかな。
だけど、今まで揺らがなかった東屋さんを、私が少しでもゆるがせたなら、もうそれだけで私には十分ほどだ。
だって、だからあんなにキスをしてくれた。
誰にもとられまいと、独占欲の痕を残してくれた。
私は勝手に、そう思ってるんだ。
どきどきしながら、照明を背負って逆光の東屋さんを見上げる。
ゆら、ゆらと瞳が揺れる。
ああ、どうかそのまま落ちてきて、と首筋に手を回そうとしたら。
ぽふ、と突然、私の顔の横、ソファの上に頭を落とした。
「お前といると、自分が凄く汚く思える時がある」