恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
至極あっさりと、そう言われた。
拍子抜けだったけど、これが大人の余裕というやつなのだろうか……ってみっつしか違わないはずなんだけど。
じっと東屋さんを見ていると、彼が不思議そうに首を傾げる。
「どうかした?」
「いえ……やっぱり余裕なのかなあ、て。私だったら……ちょっと、もやっとするかもと思ったので」
勿論、無理矢理「行かないで!」なんては言えないけど、もやっとするというか……きっとすっきりはしないなと思って。
だけど、東屋さんには少しもそんな素振りは見えない。
しかも、にや、と急に意地悪な笑い方でひょいっと間近で顔を覗き込まれた。
「そうなったら、ヤキモチ妬いてくれんの?」
「たっ、多分、ですけど。元カノとか、考えたらなんかモヤモヤモヤって……」
「俺だってモヤっとはするよ?」
嘘。
全くそんな風には見えないけど。
「でもその為に大事な人間関係を閉ざさせるような付き合いは間違ってるなと思うだけ」
「……東屋さんは大人ですね」
「そうでもない。だから迎えに行こうかな」
「え、お店まで?」
「どっちでも。近くまででもいいし。解散のタイミングで連絡くれたら車出すから」
東屋さんの言葉は、私にとっては自由にはしてくれてもほどよい束縛も感じられる言葉で、正直に迷ってることを話して良かったと思えた。
多分、この束縛と自由の匙加減は人それぞれじゃないのかと思う。
だからこそ、素直に伝えて正解だった。