恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
パソコンに向かいながら集中集中と呟いたところで、ちっとも指が進まない。
東屋さんが他の仕事をしている間に、業務報告を入力しておけとミーティングルームに閉じ込められているのだが。



「集中。集中。早くしないと」

「…………一花」

「しゅーうーちゅーうー……あ、間違えた。ちっ」



集中しなくちゃばっかり考えてたら余計に打ち間違いのミス連発。
苛立ち紛れについ舌打ちをしたら。




「いたたたたたたた! いたい! 痛いです東屋さん!」

「生意気に舌打ちか。口ばっかりでちっとも進んでないだろ何やってんだ」



いつの間に後ろにいたのか、コメカミにぐりぐりと東屋さんの拳が食い込んできた。


「さよさんが店予約したり準備してくれてるんだからな。主役が遅れて迷惑かけてどうすんだよ」


そう。
今夜は、私の歓迎会である。


なので近頃ちっとも仕事に集中できない私はここに一人閉じ込められていたのだ。
定時までにちゃんと仕上げやがれという脅しである。


ちなみに、私が知ってからというもの東屋さんは「さよさんlove」を隠さなくなった。
正直、アカラサマ過ぎて引きます、ドン引きです。



「頑張りますよ、もうすぐ終わります! なんですかさよさんさよさんって」



解放されたコメカミを抑えながら、涙目で後ろを睨むと東屋さんの呆れた目に見降ろされる。



「さっきから何回も聞いた、もうすぐ終わるって。お前そんなんで大丈夫? 今日で研修期間終わりだからな。来週から一人だぞ」


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