恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
「ちっ……なんでお前が出てくんだよ」

「糸井。俺もお前に彼女いるなんて聞いたことなかったけどな? つい最近やれ合コンだなんだと騒いでたことも知ってるけどな?」

「いや、だからその合コンで、」

「彼女持ちってことにして油断させようとしたんだよな? あからさま過ぎて全く隠れてない下心見てると微笑ましいけどな? 同期のよしみで教えてやる。多分そういうとこがモテない原因だ」

「い、いいだろ?! あからさまなくらいが親切だろ、全くその気ないフリして送ってってぱくっと食っちゃうヤツより俺みたいのが正直だろ!」

「開き直んな馬鹿」



どっと周囲の笑いを誘う、二人の会話。


……彼女持ちって嘘だったのか。
いや、そんなことどうでもいい、今はただ。
この声の主が。



「日本酒唆したの俺だし。俺が送ってきますよ、さよさん」



‘’さよさん‘’
西原さんをそう呼ぶのは、一人だけだ。


気がつくと、ぱっと顔を上げて糸井さんの手を振り払い、私を引き寄せていた腕にすがりついた。



「うわっ」

「東屋さんら」



見上げた先に、間違いなく東屋さんの顔がある。
すごく、驚いた顔をしていた。


でも私の方がびっくりだ。
東屋さんが、まさか私を送ってくれるなんて。



「……目が覚めた?酔っ払い」

「ぁい、すみませ、」

「何よりだけど。酒臭い」



ぐっと額を押されて遠ざけられる、この塩対応。
しょっぱいけど。でも。



「俺が送るけどいい?」

「東屋さんがいい」



そうはっきり言うと、東屋さんが面食らった顔をした。
なんか周囲もどよってした。

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