恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
扉が開いて目が合った途端、二人は目を見開いた。
特に東屋さんはぎょっとしたようで、それから苦虫を噛み潰したみたいに顔を歪めた。


すっごい苦かったんだろーなー。


じゃなくて。
そんなに私が行くと邪魔なんだろうか。


「邪魔」ならしたくないけど。



「すみません、通りがかったら聞こえちゃって。邪魔はしたくないですけど、もし私が呼ばれててその方が上手く契約まとまるなら、勿論行きますけど」

「別に必要ない。一花がいなくても上手くまとめてくるよ」

「でもだったらなんで私の名前が出てたんですか。仕事ですよね? 来いと言われてるなら私が行った方が良いに決まってるんじゃないんですか?」



率直に、そう思ったから聞いただけだったのが、どうやら的外れでもなかったようで。
東屋さんが、ぐっと喉を詰まらせた。


だけどやっぱり、顔を縦には振らない。



「どうしてですか? 東屋さんの邪魔になるなら余計な口出しもしませんし、行くだけなら問題ないじゃないですか」

「良いって。来られるとかえってやりにくい」

「でも取引先が言ってるのを逆らったら、その分東屋さんが何か言われるんじゃないんですか」

「しつこいよ。一花は大人しく資料作成やってればいいから」

「東屋さんがそんな時代錯誤なこと言うとは思いませんでした!」



あんまりにも頑なで、何か理不尽。
そう感じると私もつい、引き下がれなくなってしまって、それに大人しく資料作成してればいいなんて、そんな横暴な言い方今までしたことなかったのに。


手に持っていたコピーを長机の上に置かせてもらって、睨み合っていると。



「一花。東屋と行った業者会覚えてるか」



藤堂部長の声で、流れが変わった。

< 85 / 310 >

この作品をシェア

pagetop