鬼社長の魅惑のボイス。

ショックで
私は、病室から飛び出してしまう。

「愛里!?」

悔しかった。
それを言われた時に言い返せない自分が。

確かに私には、何もない。
一般家庭で財力どころか権力すらない。
飛びっきり美人でも頭がいい訳でもないし

それでも社長と一緒に居られるのが
幸せだったのに……クビになり
もう秘書にさえ戻れないの……?

病院から出ると私は、涙が溢れて止まらなかった。
社長……私は、どうしたらいいの?

泣きながら向かった先は、
自分のアパートだった。
クビになった以上、社長宅に帰ることが
出来なかった。

部屋に入るとベッドの上で
ずっと泣いていた。

するとスマホの着信音が鳴り響く。
もしかしたら社長?

私は、慌ててスマホを取り出した。
確かに社長の着信もあった。
あったのだが知らない番号の留守電も
入っていた。

これは、誰かしら?
私は、恐る恐るその留守電を聞くことにした。

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