鬼社長の魅惑のボイス。

すると三浦さんって人は、眼鏡をクイッと
上げるとこちらを睨み付けるように見る。

「まだ分かりませんか?
会長は、ご厚意で言ってるんですよ。
あなたと社長は、住む世界が違うんです。
これは、会長からの命令です!」

「もし逆らうならクビ。
どんな手を使っても
二度と会うことも許さないそうです。
その意味……分かりますよね?」

凄い圧力で言ってくる。
それは……絶対に逆らうことを許されない
雰囲気だった。

「そんな勝手なこと許されるか!?
親父は、自分の思い通りにさせたいだけだろ。
コイツの雇い主は、俺だ!
俺は、跡継ぎだからそれを決める権利がある」

「だから絶対に認めない。
愛里を辞めさせないからな!!」
激怒する社長。

私は、頭の中が真っ白になる。
 
それは……私が二度と社長と関わることを
許されない内容だった。

「社長……あなたもそろそろ
須藤グループの後継者としての責任を
持って下さい。
この方は、何の力も持っていません。
権力も家柄も」

「それは、秘書だけじゃなく
結婚相手としても相応しくないからです。
あなたには、もっと相応しい女性が
他にもいます」

キッパリと言い切る三浦さんの言葉は、
私の胸に深く刺した。

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