【中編】彼女様は甘い味。
何だかんだあっという間に自己紹介は終わって…
─只今午後9時。
「…何かぁ、蓮二にしてはよく絡むね?
奏音ちゃんと〜」
蓮二の肩にそっと手で触れて耳にフッと息を掛ける。
「…ばっ!や…っ!
オイ、京也!!ぶっとばすぞテメェっ」
勢いよく京也に詰め寄ると凄い苛々した表情で睨み付ける。
「あー、さては蓮二、
…感じちゃったか?…それとも奏音のことマジでお気に入り」
え、…あたし呼びつけにされてます。
…と、思いつつ黙る。
「…っはぁ?
なんでよりによってこんなおかしなウサギ女を」
鼻でフンッと笑うと見下すような目で奏音のことを見る。
「…まぁまぁ、
徹くん、姫山先輩連れてって」
「…おうっ」
そう言うと、
山瀬先輩は姫山先輩の襟を掴んでズカズカと歩き出すと、
そのまま保健室を出て行った。
『ふざけんな』とか『離せクソ』、なんて言葉が廊下から聞こえる。
「…ばいばい、奏音っ
俺のことは愁って呼んでいいからな!」
ニコッと笑うとそのまま愁も保健室を出て行く。
「俺のことも京也でいいからね、
…ばいばい奏音ちゃん、」
小さくウィンクをするとあたしに微笑み掛けて、
またもや保健室を出て行きました…、
…一体、何なんでしょうか?
「…結衣ちゃん、
何だったんでしょうかね…?」
首を傾げる奏音。
「個性的な人達よね…
…さっ、早く私達も戻らなきゃ」
「…は、はい…っ」