【中編】彼女様は甘い味。




不機嫌そうに、けれどもどこか恥ずかしそうな表情をする蓮二。


この時の蓮二の気持ちなんてこんな鈍感な奏音に分かるはずもなくて、ただ奏音の頭の中の疑問符は増え続ける一方。




「蓮、先輩…?」

やっぱりこういうような長い沈黙は嫌いです。


どうしても気になって、

口がペラペラと次の先輩の言葉を催促するような言葉を並べてしまうんです。


「誰ってそりゃぁ…“お前”しか、お前しか居ねぇだろーが」



“お前”?

“おまえ”?

“オマエ”?


しつこい。




その先輩の言う“お前”とはどこの何方のことですか?

いや…一般的にそのような言葉はどのような時に使われるのでしょうか?


お前、

よく先輩があたしを呼ぶ時に使われますよね…



あたしをっ!?!?


あたしを呼ぶ時に…、あたしを呼ぶ時に…

っっ!!


「落ち着け、変態」

「は…はいっ!」


お前は変態という言葉を受け入れたのか?というような気もするが…今の奏音はそれどころでは無い。



「お前そこまで見てないだろ?俺が書いた歌詞」


どうやら蓮二は奏音がそこまで自分の書いた歌詞を見ていないものだと思っているらしい、


“例えば天使と悪魔が恋に堕ちたとして”



けどそれ以上を…


事実上、この子はそれ以上の歌詞も見てしまっていたわけで。


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