コバルトブルーの誘惑
紅茶をゆっくり飲んでから、荷物を片付け、タクシーで京都駅に出て、荷物を置いて、
昨日の居酒屋で聞いたパンの美味しいカフェで遅いブランチをして、

京都国立博物館で、風神雷神図の屏風が見たいと言うので、
バスを利用してゆっくり博物館を見て歩いた。

夕方に川沿いを散策し、川床料理の店で涼しい川床に座ってハモの懐石料理を堪能し、

ケンさんに言われていた新幹線に乗ってうとうとしながら東京に帰った。


楽しい週末だった。

嶺緒が家に送るとどうしてもきかなかったので、
ここからタクシーで帰ると、片道2万円を超える。と脅したつもりだったのに、
あっさり、タクシーを停めて、一緒に乗り込んだのには呆れた。

大学が集まっている駅の周辺は単身用のマンションが充実していて、
私鉄の駅からほど近い私のマンションに着くと、タクシーを待たせて、私の荷物を3階の部屋の前まで運んでくれる。

「ここは東京?」と聞かれ、

「東京都です。23区じゃない学生の街だけど…」と言うと、

「なるほど。もう少し、東京駅の近くに引っ越ししてほしい。」

「ば、馬鹿なの?部屋代が高すぎて…
嶺緒…『しばらく』っていつまで日本にいるの?」

「すぐにわかるよ。」と不意に私を抱きしめ、唇を重ねる。
一瞬のキスだけど、深く重ねられた唇に驚いてしまう。

ドンと胸を押して、

「私は嶺緒の恋人じゃない!」と怒ると、

「うん。フライングだったね。昨日も寝てる舞にキスしちゃったけど…」

…開いた口が塞がらない。

「また、連絡する。」と言って、嶺緒は軽やかに階段を降りて行った。

…嶺緒ってこんなに強引なオトコだったかな?

昔の嶺緒はもうちょっと待ってくれたような気がするけど?!



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