二人だけの秘密
ーーーーーー美希さんと近くの席になるためには、21を狙うしかない。

僕はそう思って、さらに祈りに力を込める。

「次、栗原さん」

「はい」

佐藤先生に名前を呼ばれ、僕は教卓に向かった。

「未来、数字の4を狙えよ。俺は、5の窓際の席が取れたしな」

裕也は嬉しそうに、僕に数字の5が書かれたなんの変哲もない白い紙を見せる。

「わ、わかってるよ」

口ではそう言った僕だが、本当は数字の21しか狙っていなかった。

僕は教卓の前まで行き、手作り感満載のボックスの中に手を入れた。ガサガサと紙が擦れる音がし、僕の心音が大きくなる。

僕はボックスの中から紙を一枚握り、そのまま右手を外に出した。僕の右手に、二つ折りにされた白い紙がしっかりと握られていた。

ーーーーーードクン!

僕の左胸の鼓動が、一回大きくなった。
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