二人だけの秘密
「ご、ごめん」

僕は、沈んだ声で謝った。

「いいですよ。未来さんは、絶対に来ると信じてましたから」

美希さんはにっこりと微笑みながら、僕の手をぎゅっと優しく握った。彼女の柔らかい手の感触が、僕の手に伝わる。

「えっ!」

その行動に驚き、僕は目を丸くした。それと同時に頬が一瞬で赤くなり、自分の心臓の鼓動がうるさくなる。

「み、美希さん……」

緊張しているせいか、僕の声がどもる。

「今日はデートするんだから、手を繋ぐのが当たり前じゃないですか」

馴れ馴れしい口調でいいながら、美希さんは可愛いえくぼを作って笑った。
< 141 / 206 >

この作品をシェア

pagetop