二人だけの秘密
「美希さん、謝らないで。僕が君を救えなかったのは、変わりはないんだから。それに、美希さんにもう一つ謝らないといけないことがあるんだ」

「もう一つ?」

美希さんは顔を上げて、首をかしげた。

「うん。僕が親なんかいてもいなくて一緒さって言ったこと覚えてる?」

「覚えてますよ」

美希さんは、首を縦に振った。

「美希さんの家庭環境もあったのに、親を大切にしてない発言をしてごめん」

僕は、頭を深く下げた。

全部彼女に謝りたかったことを謝ると、僕の心の中にあったモヤモヤが解消されていく。
死んでから気づいたのは、僕と美希さんは家庭環境が真逆だったこと。それだから、彼女のことを好きになったのかもしれない。
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