二人だけの秘密
「未来、早くスーツに着替えなさい」


懐かしく彼女の思い出に浸っていると、母親の声が聞こえた。

「分かった」

僕は白いうさぎのぬいぐるみとピンクのクマのぬいぐるみにポンと右手を置いて、スーツに着替えて家を出た。

「つい最近まで学生だったのに、未来がもう結婚だなんて………」

スーツ姿の僕を見て学生時代だった頃を思い出したのか、母親がしみじみと言う。

「確かに、僕も22歳だもんな」

歳を重ねた共に、自分の心も大きく成長した。

六年前は母親の話なんか耳を貸さなかった自分も、今はたわいもない会話から仕事の相談の話をしている。


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