二人だけの秘密
「行ってらっしゃい」

母親が手を振って、笑顔で僕を見送る。

「ああ、行ってくる」

六年前とは違い、僕はしっかりと笑顔で母親にあいさつを返した。

外に出ると結婚式にはふさわしい、いい天気だった。青く澄み渡った空には、雲一つない。

「美希、幸せになってくるよ」

僕は、空を見上げて言った。

太陽の陽射しが左手薬指にはめている結婚指輪に当たり、涙のようにキラリと輝いた。





END
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