片恋レター
プロローグ
 とある町の路地を抜けるとそこには一軒の家がありました。それはレンガでできていて、まるでおとぎ話の中に出てくるような外見をしていました。家の前には赤いポストが置いてありました。ポストの上には手紙をくわえた白い鳥の置物がありました。




この家には一人の女性が住んでいます。多くの人は彼女のことを「エモールさん」と呼んでいます。けれど、誰も彼女の姿を見た人はいませんでした。なぜなら、この家に来る人はあの赤いポストに手紙を入れにやって来るからです。



女子高生の間で「エモールさん」を知らない人はほとんどいません。



「路地を抜けた先にあるレンガの家の赤いポストに手紙を入れたら、7日後に返信があるんだって」



誰がつくったのかは分かりませんがそんな噂が女子高生たちの間ではやりました。



なぜ、女子高生たちだけなのか。
それは「エモールさん」が恋愛の相談にのってくれるからです。



< 1 / 10 >

この作品をシェア

pagetop