幼なじみじゃ、なくなった夜。





ごく、と息をのんだ瞬間、足立さんはふっといつもの天使の笑顔に戻ると、ニコ、と可愛らしく小首を傾げた。




「じゃ、そういうことなので。失礼します」




そして花柄のフェミニンなスカートを揺らし、颯爽と資料室を出て行く。



残された私は、足立さんがいなくなってなんだか薄暗く感じる資料室に一人、立ち尽くしていた。



“榎波先輩が可哀想です”




…その通りだと思った。




榎波を傷つけたくないから、ちゃんと考えようって思った。



真剣に向き合おうと決めた。




でも、いくら考えても答えは出なくて、自分の気持ちがはっきりしなくて、それが結果的に榎波を傷つけている…のかもしれない。





…私ってこんなにはっきりしない女だったっけ。




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