極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
今の段階ではその可能性を否定できない。
小さく頷くと横目で見ていた紬が前を向きながら呟いた。


「それならまだ帰したくないな」


その言葉に運転席側を見れば、街灯の明かりに照らされ、陰影の出来た艶っぽい横顔が目に飛び込んできた。

瞬間、胸の鼓動がドクンと跳ねた。


「俺もこれから忙しくなる。だとしたら会えている時間を大事にしたい。きみは…楓は俺と一緒にいたくない?」


いたいけど、カーナビの到着予定時刻からして私のアパートに着くのはもうほんの数分後だ。
片付いていない自宅に上げるわけにもいかないし、それに紬は芳川さんの一件で疲れてそうだし。


「すみませ…」


誘いを断る方がいいだろうと断りの文句を言い出したとき、紬が言葉を被せてきた。


「今日は疲れてるよな。悪い。送るよ」



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