極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~

「あ!もしかして私がいたら話せない内容ですか?それなら席を外します」
「いや、そういうことじゃないよ」


立ち上がろうとしたのを桧山さんに止められて、また腰を据える。
そして桧山さんが所長の方を見たので、私もそちらに目を向ける。


「本当に初めて聞きました。『裏の意味』があるなんて。なんなんですか、『裏の意味』って」
「あぁ、それはな…」


今日こそは聞ける。

そう思ったのに、所長の携帯電話が鳴り、そのまま部屋を出て行ってしまったせいで答えを聞くことは出来なかった。


「いったいなんなんですかね?」


所長の背中を見送ってから桧山さんに聞いてみる。


「遠藤さんに聞けば分かるんじゃないかな。でも楓ちゃんはそこまでして知りたいの?」


そう言われてしまうと別に聞かなくてもいいかな、とも思う。
でもやっぱりここで働いている以上、気にはなる。


「桧山さんは気にならないんですか?」
「気になるよ。でもこの規則のおかげで女性からのアプローチを断れているのも事実だから」


モテる男は大変だ。
私には分からない苦労があるのだろう。
切なく笑う桧山さんを見てこっちまで切なくなってくる。
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