極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
…って。

なんて甘い台詞を吐くんだ。
キュン死にする、という言葉があるらしいが、まさしくそれ。
あのはにかんだ笑顔と告白には完敗。

でもそれは私だけではないらしく、事務所内の女性たちは紬が帰り際に見せた笑みを見ては頬を染め、「実物、超カッコいい」を連呼している。

となると、私の気持ちも本当は恋とは違う…?


「そんなわけないだろ。勝俣くんのは立派な恋心だ」
「あ、所長!」


そうだ、昨日、話を聞かれていたんだ。
思い出したら恥ずかしくて、赤面してしまう顔を見られないように机に突っ伏す。

そんな私の背中を所長はポンと叩いた。


「照れるなよ。良かったじゃないか。あんなイケメン捕まえられて。結婚の約束、取り付けたんだろ?」
「あ、ちょっと、それ秘密ですからっ!」


慌てて起き上がり、所長の口元を押さえるように手を伸ばす。

でも時すでに遅し。

向かいの席の桧山さんに聞かれてしまった。


「今の話、本当?結婚するの?」


いつになく険しい表情の桧山さんに所長が明るく「そうなんだよ」と答えた。


「だとしたら僕は楓ちゃんを見損なったよ」


規則を破ったんだから当然そう思われても仕方ない。


「すみません」


肩を落とし反省する私に桧山さんは身を乗り出し、自身の顔を指差して言った。


「イケメンならここにもいるのに。なんで彼なの?解せないな」

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