寵妃花伝 傲慢な皇帝陛下は新妻中毒
体を重ねたときに、いったいどんなふうに乱れるのか、見てみたい。
だから抱こうと決めた。
(皇帝の種を受けて子をはらめば、この世で得られないものなどない身分になれる。だから女は皆私にその気がなくとも皇帝に抱かれたがる……)
竜樹の後宮には兄の代から二十人程度の女たちが控えていた。数百人以上いたのは昔の話だ。正直言って、後宮と呼ぶには少なすぎる女性の数である。
普通は皇帝が変わるたびに後宮は総入れ替えするものなのだが、竜樹は兄の後宮をそのまま引き継いだ。別に兄の後宮に気に入った妃がいたわけではない。一から女を選ぶのが面倒だった、それだけだ。
里帰りをしたいという者だけは妊娠していないかを確かめるために一年間だけ残して、その後大金を持たせて帰らせた。
だから竜樹が自分で選んだ妃というのは、今回の藍香が初めてである。
だが、そんなことはどうでもよかった。
女はどの時代でも同じだ。争い憎み合い、足を引っ張り合う。
父の代でも、兄の代でもそれを竜樹は見てきた。
藍香もそうだったはずだ。
なのに唐突に、彼女は竜樹に『名前を呼んでほしい』と言ったのだ。
あまりにもくだらなさすぎて、竜樹はその言葉で一気に萎えてしまった。
「馬鹿らしい……」
(名前を呼ぶことにいったいなんの意味がある。感傷にすぎぬ……)