ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「他には? もっとすみれの本音を聞かせて」

抱きしめられたまま囁かれた甘い響きに想いを吐露した。

「手を繋ぎたい。たくさんデートしたい。……恋人同士がすることを全部したい」

「わかったよ。全部しよう。……ふたりで」

何度も背中や髪を撫でられ、素直な気持ちが溢れ出す。

「他にもある? すみれが俺としたいこと」

「ん?」と言いながら謙信くんは顔を覗き込んできた。

「教えてよ、すみれ」

鼻と鼻を触れさせ、甘い言葉を繰り返す。そんな彼に堪らず言った。

「……キス、したい。恋人がするような甘いキスをいっぱい」


勇気を出して言ったものの、途端に目を丸くさせる彼にかぁっと身体中が熱くなってしまう。でも謙信くんはすぐに頬を緩ませた。

「いいよ、しよう。……恋人がするような甘いキスをたくさん」

「――え、ンッ」

すぐに塞がれてしまった唇。けれどすぐに唇は離れ、また塞がれる。

何度も何度もキスを落とされ、甘く痺れていく。

「すみれ……」

キスの甘いに囁かれた自分の名前。

次第にキスは深くなり、私はもっと……とねだるように彼の背中にしがみついた。この幸せは永遠に続くと願って。
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