ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
ふたりとも笑顔なのに、火花が散っているように見えるのは私だけだろうか。

このまま間に入らなかったら、延々と続きそうだ。

「いっ、一弥くん! 飛行機の時間、大丈夫!?」

慌てて割って入ると、一弥くんハッとし腕時計で時間を確認した。

「やべ、そろそろ行かないと」

呟くと、一弥くんは私と謙信くんを交互に見た。

「元気でな。……ふたりの結婚式の招待状が届く日を楽しみにしているよ」

「一弥くん……」

「俺も桐ケ谷流を継ぐ身として、向こうで頑張ってくるわ。……いつかあんたの会社の花を生けてやるよ」


一弥くんは最後に強気な目で言うと、謙信くんも答えた。「その日までに俺も会社を継いで、楽しみに待っているよ」と。



「いっちゃったね」

「あぁ」

外で謙信くんと一弥くんが乗る飛行機が飛び立っていくのを見送り、空を見上げたままポツリと漏れた。

「すげぇな、大学生で将来のために留学とか」

「……うん」
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