ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「なんか照れるな。こうやって本心を曝け出すって。……でもすみれの本音が聞けてよかったよ」

彼を見ると目を細めふわりと笑った。

あまりにやさしく笑う姿に、心の底から思った。逃げずに自分の気持ちを伝えてよかったって。

「これからもよろしくな」

「……うん、こちらこそ」


謙信くんとは幼なじみでずっといっしょにいたのに、まだまだ私は彼のことをすべて知ることができていない。

だからこそ知りたい。そして私のことも知ってほしいと思った。

大好きなあなたに私のすべてを――。


その後はふたりでお酒を飲みながら、眼下に広がる夜景を見ながら他愛ない話に華を咲かせた。
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