ほしふるよるに
大国大仙雲帝国
静かな夜
どこまでも続く大きな森で小さな私は空を見上げた。
するとどこからともなくキラリとひ弱な音が聞こえてくる。
音の正体は流れ星。
1年に1度大量の星が西の空へ流れていく。
それを私は毎年見てた。
山に登り頂上へ走ってゆく。
途中で下駄の鼻緒が取れても気にしない。
「やっぱり綺麗ね!間に合ってよかった!」
夜空は青白く光る無数の流れ星で覆われるように明るくなった。
どんどん流れ星が少なくなる。
そしてとうとう一つの星が流れて消えていった。
「…帰らなきゃ。」
ぽつりと立っていても明日が来ちゃう。
小さな足で、駆け足で山を降り、森を出て街へ出る。
人々は流れ星を見たあとさっさと帰ってしまうのか、数人しか余韻に浸る者がいなかった。
角を曲がり港へ出ると、そこを突き当たりずっと歩いていったところが我が家。
月詠家の邸宅である。
門を出たら大きな噴水に出迎えられる。飛沫が夏になると心地よくなる。
左右には緑の芝生。淵に花が植わっていてとても素敵なのである。
白いレンガの地面を歩いているとやっとのことで扉の前。
2枚式で私じゃ片方しか開けられない。
でも10人くらいの執事とメイドが迎えてくれる。
「お帰りなさいませ、お嬢様。」
昔から仕える爺に「ごめんなさい、下駄が壊れて履けなくなっちゃったの。」
これは祖母のものである。
百年ほど前はここはニホンシキという形式のお家で今の家とは全くと言っていいほど違うんだとか。
噴水だってシシオドシっていう音が鳴る機械のようなものなんだって。
私はこの世のことを知らないから興味のあること以外わからない。
學校で習ったことも時々忘れてしまう始末である。
朝起きて食事を済ませ乗馬へ行こうとすると
「お嬢様、ご友人のノア様が応接間でお待ちでございます。」
ノアは私の親友であり、クラスメート。
外国人のお父様と大仙雲帝国のお母様がいるのだそう。
金髪碧眼のノアは美人で勉強は私よりもできる。運動神経は負けないけどね。
「ノア、来てたの?早起きだね」
「楓ったらまだ寝てたの?」
楓、という名前はお父様がつけてくれた。
目立たない名前で昔は嫌だったけど今はどうってことは無い。
「ね、楓。今度アーニャさんのライブがあるの。チケット取れたから一緒に行かない?」
「ほんと?ありがとう、嬉しいよ…!」
アーニャ。
そう、妖精の国から来た小柄ながらも人々を惑わせる美声の持ち主である。
ハスキーではあるが低い歌声もお手の物。
しかし得意なのは高音なのだ。
彼女は男性と女性のファンをもつスターで、ライブのチケットは当たらない
というのにノアも大したものである。
「今度アーニャさん主催のオーディションがあるらしいねー」
「何それ?」
「知らないの?アーニャさんの所属事務所が新たに芸能人を求めてるって。」
一体なんのために…?
アーニャさん1人でも稼ぎは凄いはずなのにまだまだ行くなんて流石にわがまますぎないか?
「私行こうかな…高校生限定だから。」
「ノアがやるなら私もやるよ。」
どこまでも続く大きな森で小さな私は空を見上げた。
するとどこからともなくキラリとひ弱な音が聞こえてくる。
音の正体は流れ星。
1年に1度大量の星が西の空へ流れていく。
それを私は毎年見てた。
山に登り頂上へ走ってゆく。
途中で下駄の鼻緒が取れても気にしない。
「やっぱり綺麗ね!間に合ってよかった!」
夜空は青白く光る無数の流れ星で覆われるように明るくなった。
どんどん流れ星が少なくなる。
そしてとうとう一つの星が流れて消えていった。
「…帰らなきゃ。」
ぽつりと立っていても明日が来ちゃう。
小さな足で、駆け足で山を降り、森を出て街へ出る。
人々は流れ星を見たあとさっさと帰ってしまうのか、数人しか余韻に浸る者がいなかった。
角を曲がり港へ出ると、そこを突き当たりずっと歩いていったところが我が家。
月詠家の邸宅である。
門を出たら大きな噴水に出迎えられる。飛沫が夏になると心地よくなる。
左右には緑の芝生。淵に花が植わっていてとても素敵なのである。
白いレンガの地面を歩いているとやっとのことで扉の前。
2枚式で私じゃ片方しか開けられない。
でも10人くらいの執事とメイドが迎えてくれる。
「お帰りなさいませ、お嬢様。」
昔から仕える爺に「ごめんなさい、下駄が壊れて履けなくなっちゃったの。」
これは祖母のものである。
百年ほど前はここはニホンシキという形式のお家で今の家とは全くと言っていいほど違うんだとか。
噴水だってシシオドシっていう音が鳴る機械のようなものなんだって。
私はこの世のことを知らないから興味のあること以外わからない。
學校で習ったことも時々忘れてしまう始末である。
朝起きて食事を済ませ乗馬へ行こうとすると
「お嬢様、ご友人のノア様が応接間でお待ちでございます。」
ノアは私の親友であり、クラスメート。
外国人のお父様と大仙雲帝国のお母様がいるのだそう。
金髪碧眼のノアは美人で勉強は私よりもできる。運動神経は負けないけどね。
「ノア、来てたの?早起きだね」
「楓ったらまだ寝てたの?」
楓、という名前はお父様がつけてくれた。
目立たない名前で昔は嫌だったけど今はどうってことは無い。
「ね、楓。今度アーニャさんのライブがあるの。チケット取れたから一緒に行かない?」
「ほんと?ありがとう、嬉しいよ…!」
アーニャ。
そう、妖精の国から来た小柄ながらも人々を惑わせる美声の持ち主である。
ハスキーではあるが低い歌声もお手の物。
しかし得意なのは高音なのだ。
彼女は男性と女性のファンをもつスターで、ライブのチケットは当たらない
というのにノアも大したものである。
「今度アーニャさん主催のオーディションがあるらしいねー」
「何それ?」
「知らないの?アーニャさんの所属事務所が新たに芸能人を求めてるって。」
一体なんのために…?
アーニャさん1人でも稼ぎは凄いはずなのにまだまだ行くなんて流石にわがまますぎないか?
「私行こうかな…高校生限定だから。」
「ノアがやるなら私もやるよ。」