君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


満天の星空の下、李人と過ごした二人だけの夜。

李人と観る星空は、優葉にとって何物にも代えられないほど輝いていた。

そして、それは今も優葉の胸に特別な思い出として刻まれている。



今は、李人と一緒に星空を眺めるなんて叶わないけれど………。


「………優葉? どしたの、急にボーッとして?」

晴夏から訝しげにそう尋ねられたところで、優葉は意識をハッと取り戻した。

「あ、ううん! 何でもないの。 キャンプ、私も行きたい」

「よしっ、決まりねっ! 綾子もいいでしょっ?そうとなれば後は夏休みを待つだけだーーーっ!」

「うん、良いけど………。 すでにテストのこと忘れてるわね、晴夏」

「そうだね?」

綾子の冷静なその言葉に、優葉も思わずクスリと微笑んだ。

李人と一緒に、星空を観たキャンプ場へもう一度行きたい。

李人との思い出を振り返るだけなら、李人に迷惑をかけるはずもない。


それだけなら、きっと構わないだろうからーーー。

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