君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


優葉は現在、中学生を3名、小学生、高校生をそれぞれ2名ずつ受け持っている。

川野スクール R町校は、1対1の個別指導だ。そして、全生徒が大体80名ほどと会社全体では一番生徒数が少ない。

そのため、講師が受け持つ生徒もさほどない。

しかし、優葉はそのようなアットホームな雰囲気が好きだった。

「生徒さんが来られる前に清掃しちゃいますね」

優葉は、田倉にそう告げいつも通り塾内の清掃に取り掛かろうとした。

「あっ。待って、笹原さん」

「はい?」

「急で悪いんだけど、話があるんだ。そこに座ってもらえるかな?」

田倉にそう言われ、優葉は一旦掃除道具を横に置くと、受付の前に座った。

「実は………、今日、体験授業に来る高校生が1名いるんだけど。

その子の担当を笹原さんにお願いしたいと思ってるんだ。国語と英語なんだけど」

「ありがとうございます」

「それで………、その高校生って言うのが。その、訳ありでね」

「訳あり?」

田倉が、そんな風に生徒の事を言うのは珍しく優葉は首を傾げた。


何か、素行に問題のある生徒なのだろうか?



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