君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
李人にずっと抱えていた想いを告げた瞬間。
晴夏の声も、手足も何もかも………震えた。
他の客や、 従業員が何事かという風に好奇や驚きの目で晴夏達を見てきたが、そんなものに構っていられなかった。
「………ありがとう」
そして、李人のそのポツリと呟いた言葉で、晴夏はハッとし李人の方を向く。
「気持ちは、とても嬉しいよ」
李人は変わらず優しい笑みを浮かべており、晴夏の胸をときめかせたーーーが。
「………でも、俺が好きなのは優葉だよ」
「………!」
中学時代に言われなかった………しかし、心では長い間確信していた事を李人に強い眼差しで言われ、また晴夏は言葉を失った。
「………中学の頃は誰にも言わなかったけれど。今はもうはっきり言う。 俺は、ずっと優葉が好きだった」
「………っ」
「………もう一つ、質問をするよ」
そう言い、李人は背筋を伸ばした。