君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………篠村が、優葉の傍にいるのはなぜ?」
それを言った李人の目を見た時………あまりに冷えたもので晴夏は加えて、背筋の凍る思いをした。
そして、瞬時に直感した。
ーーー李人は、全部気付いている。
なぜ………、晴夏がずっと優葉の傍にいたのかーーー。
「………優葉に言ったそうだけど。 俺とは、 イトコだから付き合えないとかって」
「………ッ!」
晴夏が、口を噛み締めたままなのも、 気にする事なく李人は話を続けた。
「………もしも、篠村が優葉と本当に友人のつもりで接していたのなら、俺も何も言わない。
けど………もしも。 俺への気持ちが関わっていて、 優葉を傷付ける為だけに、もしくは利用する為に傍にいるというのなら話は違う。
ーーー何も言わずに、優葉の前から失せてくれ。話はそれだけだよ」
「………っ、 橘く」
「これで、会計をして。 残りでタクシーを拾って帰ると良いよ」
そう言い、 李人は黙って一万円札をその場に置くと晴夏を冷めた目で見たまま去っていったーーー。