君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「和泉、ちょうど俺らが高校1年の頃にあった大雨覚えてるか?」
「大雨………」
和泉は、記憶を辿った。そして、当時の梅雨の時期、酷い大雨があったことを思い出した。
「覚えてる。あれは酷かった。確か、途中から休校になったよな?」
「そう、それ!でさ、あの時、停電があったただろ?俺は町の方に住んでるから、すぐに電気が復旧したんだけどさ。
俺のばあちゃん、S地区の山奥に住んでるんだよ。だから、中々電気が復旧しなかった。
しかも、ばあちゃんはその時、じいちゃんを亡くしたばっかで、暗闇も苦手だし。それはそれは、取り乱して大変だったんだよ」
「そんな事があったんだな………」
「そう。俺もこう見えて中々ヘビーな人生送ってるわけよ。
でさ、そんな大雨の後、ばあちゃん家の周りの引込線っていう、家庭に電気を送る線の工事があった。
そこで、電力会社の兄ちゃんが来てくれたんだ」