君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


『………そのような新しい支持層を取り込むには、息子である和泉よりも女性である私を次の候補者に立てた方が、同じ世襲でも新鮮で印象がよい。

けれど、そんな明確なこと、和泉や私などに言われなくても、おじさまも当然分かってらっしゃいますわね』

有華がそう言えば、義家はバツが悪そうな顔をした。 

『おじさま? 和泉は、きちんとやりますわ。 政治家としておじさまの顔を立てるというのは残念ながら叶わないかもしれませんが。

和泉は、きっと立派な教師になります。
ですから、ここまで育ててくださった、おじさまやおばさまに、恥をかかせることはしないと思いますわ』

そう言い、今度は有華が和泉に目配せをした。 

最後は自分でカタをつけろーーーということだろう。

(まあ………、最初からそのつもりだけどね)

和泉はそう思いながらもここまで自分を援護してくれた有華に対し、感謝を込め軽く頭を下げる。



< 390 / 660 >

この作品をシェア

pagetop