君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

去る李人の背中があまりにも弱く見え、怜はため息をつきながら、帰路を歩いた。

(………李人は、まるで人形みたいだな)

まるで何かに憑依でもしたかのように、役柄に入る時だけ動き出す人形。

俳優としてはそれが正解なのだろう。

現に李人は、以前と比べものにならない程、ドラマに舞台、企業CMなどの仕事が舞い込んで数年先までスケジュールが埋まっているという。

しかし、その代償はーーー、

「"優葉"ちゃんか………」

彼女は李人が"橘 李人"という一人の人間であるために欠かせない女性だった。

それがなくなった今、李人は役柄に入っている時以外は生気が全く感じられない。 

だからこそ、やはり李人にはーーー

………そう、怜が思った時だった。 

「………優葉!いた、探したよ」

「………!?」

李人が立っていたわたあめの屋台で、先程から話題になっていた名前が聞こえ、怜は驚きとともにその方向に視線をうつした。





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