君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

和泉は、芸能情報に興味が無い為、李人の存在を知らなかった。

しかし、 これでハッキリした。

なぜ、李人が挑戦的に名前を告げたのか。

(………人気俳優と俺では差が歴然としてる、って言いたかったって訳か。ったく、まどろっこしい)

和泉は李人の行動を忌々しく思い、スマートフォンを荒々しくベッドの上に放り投げた。

そして左横を振り向き、向かったのは丁度、邸宅の正面にある3階の和泉の自室の出窓。

白い額縁のそれは、正面とその左右に三面鏡のように設置されてるので、広く邸宅の庭を見渡せる。

和泉は、目前に広がる門をじっと見つめた。

そして、 浮かんでくるのは……….優葉が最後に見せた笑顔。

『ッ、 何でだよ?』

和泉は頭を抱え、苛立った口調でそう呟いた。

ーーー優葉が門前で見せた笑顔が頭から離れない。

優葉が美しい声で李人の名前を呼んだのも………気になる。

李人がどのような人物が分かれば、少しはその理由を解けるかもしれないと思い、李人の名前を検索した。

しかし思いの外、有名な人物だと分かり、李人の一連の振る舞いと共に、余計に苛立ってしまった。



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